この約1年は長い戦いでした
この日、グレーのワンピースにベレー帽という可愛らしいファッションに身を包み、撮影場所であるホテルの一室に現れた有村さん。「今日みたいにワンピースを着ることもあれば、スニーカーやパーカをはじめカジュアルアイテムを楽しむことも。普段から、その日の気分でいろんなファッションを楽しんでいます。今年の秋冬は今まであまり着たことのないヴィヴィッドな色や柄物にも挑戦したいと思っていて」今は秋冬に向けて買い物を楽しんでいる最中。「こないだ、可愛いショートブーツを買って。それを履くのが今から楽しみ。ようやく買い物を楽しむ余裕ができました」と微笑む。最近の有村さんといえば連続テレビ小説『ひよっこ』での好演が大きな話題に。約1年にわたりヒロイン・谷田部みね子を演じてきた。実は、この日はそのクランクアップ直後。「朝起きてNHKの撮影所に向かう、家に帰ったら台本を開く……いつの間にか習慣になっていた日常がクランクアップを境に大きく変わって。それを感じる度に”ああ、終わったんだな“って。日に日に実感が増していく、今はそんな感じなんです」そして続いたのが「この約1年は長い戦いでした」という言葉。「火曜日から金曜日まで『ひよっこ』の撮影をして、土日は他の仕事現場へ。さらに、月曜日は1週間分のリハーサルが待っているので、それまでにセリフを覚えていかなければいけない……。頭は常にパンパンですし、主役として現場を盛り上げたいという思いも。ずっと張り詰めた状態が続いていたので。それまで、自分はタフなほうだと思っていたんですけど、今回は心と体のバランスを取るのがとても難しくて」多忙な毎日の癒やしはなんだったのか尋ねると、「頑張ったときは”自分へのご褒美“として、大好きなお寿司を楽しんでいました」と、なんとも可愛らしい答えが。さらに、『ひよっこ』を乗り越えた自分へも何か”ご褒美“を用意していたのか尋ねると、こんな答えが返ってきた。「真っ先に会ったのは地元の友達。友達が東京まで来てくれて、一緒に”お疲れさま会“をしたんです。今は料理教室や一度しか行けていない英会話教室にもちゃんと通いたいし、ジムにも通いたい……。会えなかった人に会い、できなかったことをする、それが私にとっての”ご褒美“なのかもしれません。実は今、初めての海外一人旅を計画しているんです。これもまた、私にとっては”ご褒美“のひとつ。普段から買い物もよく一人で行きますし、一人行動が得意なんですけど、旅行だけは一人で行ったことがなくて。行き先は北欧を考えていて、それが今一番の楽しみなんです」しんどくて、辛くて、大変だった約1年。「お芝居は自分との戦い。正直、苦しいことのほうが多いんです」そう語る有村さんだが、『ひよっこ』の撮影が終わった瞬間、口から飛び出たのは「楽しかった」という言葉だったそう。そして「あの瞬間、改めて”私はこの仕事が本当に好きなんだ“と気づかされた」と笑顔に。10月には映画『ナラタージュ』が公開。束の間の休息も間もなく終了。また忙しい毎日がスタートする。「お仕事はもちろんプライベートも楽しめたらいいですよね。最近は土屋太鳳ちゃんが私の家に遊びにきて、一緒にゴハンを食べたり。久しぶりに(高畑)充希と会ったり……ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のメンバーとは今も仲が良くて。メッセージグループを作り、よく連絡を取っているんです。こないだも、急に時間が空いたので”食事に行かない?“って連絡してみたんですけど、全員から”無理“と断られてしまって。そんな日もありますが(笑)。『ひよっこ』最中の癒やしが”お寿司“だったなら、今の私の癒やしはそんな”友達との時間“。また近々、リベンジしたいと思います(笑)」
STAFF
PHOTOGRAPHER:Takashi Honma
HAIR&MAKE:Kan Satoh
STYLING:Chiharu Dodo
MODEL:Kasumi Arimura
INTERVIEW:Miwa Ishii
COMPOSITION:Mayuko Kobayashi
FRaU 11月号掲載